道具
箆(へら)
下地を作成するのに使用します。主にヒノキ材です。
漆刷毛
人毛でできた専用の漆刷毛です。軸の部分に通しで毛が入っており、刷毛先が摩耗したら研ぎ出して使います。
砥石
主に下地や下塗り・中塗りの研磨に使います。
駿河炭
木炭の一種です。蝋色や上塗り前などきめ細かい研磨に使います。
材料
生漆(きうるし)
漆の木から採って加工していない生のままの漆です。下地工程で多用します。
刻苧(こくそ)
生漆+米糊+ケヤキの粉+麻布の粉を混ぜます。
刻苧(こくそ)
混ぜている様子です。
刻苧(こくそ)
下地工程の前の傷や凹み、割れなどを補修します。硬化すると非常に固くなります。
糊漆(のりうるし)
米粉を炊いて糊を作ります。
糊漆(のりうるし)
糊と生漆を混ぜます
糊漆(のりうるし)
混ぜ合わせた状態。布着せや刻苧、地などに使用します。
麻布
木地を補強し、割れや痩せを防ぎます。糊漆を使って貼ります。
地
糊漆を作ります。
地
糊漆と地の粉を混ぜます。
地
混ぜたもの。非常に硬く若干の弾力性があるため外からの衝撃や木材の割れや変形から来る傷みに強い。全体にヘラ付することで強固な下地の基礎となります。
砥の粉と地の粉
赤土の一種で下地工程で多用します。地の粉は目が荒く、砥の粉は目が細かいです。砥の粉自体にも粗さには段階があり、後の工程になるほど細かいものを使います。
切子(きりこ)
砥の粉+地の粉+生漆を混ぜわせます。
切子(きりこ)
混ぜた様子。布目摺りやおおまかな下地の形を作成するために使います。
錆
生漆+砥の粉を混ぜたもの。
錆
混ぜた様子。下地の最終段階で使います。細かい形を精密に作り仕上げるのに使います。
黒漆
生漆に酸化鉄を反応させ黒い色を着色した漆です。中塗り漆・艶消し漆・上塗り用立て塗り漆・蝋色漆などがあり、用途により使い分けます。
黒漆
生漆に酸化鉄を反応させ黒い色を着色した漆です。中塗り漆・艶消し漆・上塗り用立て塗り漆・蝋色漆などがあり、用途により使い分けます。
国産漆と外国産漆について
弊社では、国産漆はもちろん、中国産漆をはじめとする外国産漆も使用することが出来ますのでお客様に、いずれかを選択してただくことができます。
国産漆は高価ではありますが、塗るときの伸びがよく、塗膜が硬いのでよりシャープな仕上がりにすることができます。国内での流通量不足が言われておりますが、弊社では安定して十分な量を確保することができます。
外国産漆に関しましては、昨今では耐久性に問題があるとの流布がございますが、そのほとんどの原因が工程の簡略化や職人の技量不足によるもので、漆自体に問題があるわけではございません。対費用効果を考えると十分使用に耐えうるものです。
金箔押について
完成した箔場に、箔押専用の生漆を接着剤として使い、金箔を並べていきます。金箔は大きく分けて縁付箔と断切箔の2種類です。縁付箔は一枚一枚個別に伸ばして製造された箔で、不規則な模様やギラつきがなく、平物への使用に適しています。断切箔は主に彫刻等に使用。縁付箔に比べて安価です。
金箔の寸法は主に4寸2分と3寸6分の2種類です。
金箔には製造時に打ち伸ばしやすくするために銀や銅が混ぜてあります。純度の高い順から5毛色、1号色 2号~4号色と続きます。よく使われる1号色で金の含有率97.6%、2号色で96.6%。純度99.99%の24金箔も使用可能です。金箔の厚みも規格があり、薄い順から1枚掛け、1枚半掛け2枚~3枚掛けと続きます。弊社では平面には通常1号色2枚掛けを使用しますが、ご希望により他の号色や厚みを使用することが可能です。