まず、もともと塗ってあった漆を剥がす作業から始めます。
古い漆の下地が劣化している場合が多いことと、下地にニカワが使われている場合は水分に弱いので、全て剥がして木地に戻してから下地作業に入ります。
古い漆や下地を剥がして行くと、前回どのような仕事をされていたのかがよくわかります。
お寺での漆塗りは、仕上がりの美しさを実現し、木材の耐久性を高めることが目的ですが、修復時に元の塗りを剥がすことでその時代の職人がどのような材料や手法を使っていたのかを後の時代の職人に伝えるタイムカプセル的な側面もあると聞いたことがあります。
50年後、100年後、私の次に修復する職人のためにも恥ずかしい仕事は出来ません。伝統に忠実な仕事を続けて行こうと思います。


もとの木地まで完全に剥離します。これが不十分だと仕上がりに影響します。

施工箇所の剥離をしました。この作業はかなり重労働です。